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オリジナル曲解説③「白き馬」第一章

投稿者:丁
投稿日時:2022年12月14日

さてオリジナル曲解説第三弾です。

2022年12月12日に配信限定リリースされたアルバム「羽化」の中の第2曲目

「白き馬」 について語ろうと思います。

 

配信リリースを聴く

https://lnk.to/LZC-2332

 

YouTubeでフルバージョンを聴く

https://youtu.be/gJO9JZMi0Xg

 

 

 

この曲には明確なストーリーがあります。

 

今回は物語ろうかと思います。

長文ですがぜひ楽しんでください。

 

 

白き馬

 

 

遠い遠い昔のお話。

 

とある国で王位継承権の争いが起きていた。

200年ぶりに魔力をもった人間が生まれたからだ。

生まれながらに魔力を持つ者は、王位を継承し、国を率いる者となるのだ。

後天的に魔力を身につける人間はいるが、生まれながら持つ者にはある特別な力が備わっている。

国を率いる力。それは絶対的で絶大な能力だ。

 

今の王は魔力を持って生まれた者ではなかった。

しばらくは魔力を持つ者は生まれないだろうと準備を進めており、もちろん自分の血族に王位を継がせるつもりだった。

王はその赤ん坊の暗殺を命じた。

 

 

赤ん坊の母親は、赤子を産んだ後、命を落としていた。 

その暗殺計画を知った母親の付き人が、赤子を守るべく、暗殺者から逃げる生活が始まった。

付き人を助ける人もいる中、街から街へ旅を続ける。

暗殺者から逃げ続けるも、いつしか見つかってしまい、付き人は捕らえられた。

しかしそこには赤子の姿は無く、暗殺者もとうとう見つけることができなかった。

 

ーーーーーーー

十数年程たったある日、とある街の劇場でとても人気な踊り子がいた。

美しく舞うその姿は、花が空を舞っているかのような幻覚を見るほどであった。

身の振り方一つにおいても、高貴さと優雅さが溢れ出ていた。

彼女のステージはいつも光に満ちており、見る物誰もを魅了する踊り子であった。

 

その優雅な姿を一目見ようと、溢れんばかりに客席は満員状態。

そんな公演をやっている街に、騎士の一行が停泊していた。

なにせこの街の最大の娯楽は、劇場。もちろん騎士達は美しき踊り子を見に行った。

 

実はその騎士達の中には国一番の騎士がいた。

彼は幾度となく戦場を生き抜いてきた歴戦の騎兵であった。

軍を率いるほどの実力を持つ彼。

剣技にも長けており、魔法師としても名を馳せていたのだった。

  

 

例の踊り子の舞台を見た時、彼だけは違和感に気づいた。

それは魔力の気配。

舞台に微かに漂う魔力を感知したのだ。

普通の魔術師では気づけない程のごく微量の魔力であった。

 

公演のあと、騎士は例の踊り子が楽屋口から出てくるのを待った。

 

それは夜の暗闇の中だった。

 

「少し話をいいか」

もちろんいきなり話かけられた踊り子は無視して歩き続けた。

その時彼はとある言葉を口にした。

「お前もしかして、能力を持ってるんじゃないか?」

その言葉に踊り子は足を止めた。

 

そう。彼女は能力を持っていて、力を使っている自覚があったのだ。

ただ制御の方法がわからず、コントロールが出来ずに悩んでいたのだ。

「なぜ気づいたのです?」

振り返って踊り子は聞き返した。

「舞台を見て微かに魔力を感じた。それで原因を知りたくて此処で待っていた。」

踊り子は目を見開いて彼を見返した。

彼が腰から下げている剣を見て騎士だということはすぐにわかった。

「こんなところで立ち話はなんだから、この時間でもやっている店で一杯どうだ?」

騎士はこう提案した。

「そうね。私も話をしなければならないと思うわ。」

と踊り子は提案を承諾し、近くの店へと向かうことになった。

 

ーーーーーーーーー

近くにある飲み屋。人の少ないテラスで話をすることとなった。

 

まず騎士がジョッキを片手にこう切り出した。

「なぜ能力を持っているか心当たりはあるのか?」

踊り子は大きく首を振った。

「じゃあ誰かから継承してるとかも知るよしもないよな」

踊り子は持っているコップを強く握りしめ、下を向くしかなかった。

そのあと騎士はこう続けた。

「おそらくなんだが、俺の見立てだと、お前は王になる力を持っている」

踊り子は目を見開いて騎士を見つめていた。

「そんなわけ、、、だって。」

 

そう実は、彼女は親の顔や名前、どこで生まれたのかも知らなかった。

物心つく頃にはこの街にいて、今いる劇場で下っ端として生活していた。

唯一の手がかりはこの首飾りのみ。

蝶の模様が刻まれている水晶のネックレス。

それだけが唯一の手がかりだった。

 

踊り子は自分の出生が分からない事を話しながら、その水晶のネックレスを騎士に見せた。

 

そして騎士の疑念は確信に変わった。

やはりそうだ。彼女は以前起きた内乱の最中、消えた赤子だと。

この水晶の首飾りには魔力を吸収する力が備わっていたのだ。

彼女の能力を隠すために、このネックレスは魔力を吸い続けていたのだ。

 

実は赤子が消えた後も内乱が続いていた。

そして、王位継承権を持つ者が不在の状況となり、

実質、今この国を動かしているのは、この騎士であった。

 

そんな中、運命の糸がなぜか、彼の元へ手繰り寄せられていったのだ。

とんでもない奇跡が起きていると、騎士は思うしかなかった。

騎士がずっと探していたあの赤子が今、目の前にいるのだから。

 

「やはりな。お前、王都へ来ないか」

騎士は踊り子に提案した。

 

踊り子は少し考えた。

今までお世話になってきた、劇場の仲間やその家族。

彼らと離れなくてはならなくなる。

突然言われてもすぐ受け入れられる事ではなかった。

「少し考えさせて」

そう言うしかなかった。

「では三日待つ。俺らは三日後に王都に帰らなくてはならない。その時までに一緒に来るか否か決めてくれ。」

それで両者は納得し、テラスでの話は終わった。

 

 

ーーーーーーーーー

それから三日後

 

彼女は決断をしていた。

やはり自分の出生についても知りたいし、この能力についても知りたい。

そして能力の扱いについても、あの騎士からなら何か聞き出せるかもしれない。

そう思いを固めていた。

王になるとかその辺のことは後で考えることにした。なんせ、よくわからない。

長らくお世話になった劇場の人たちとも別れを済ませ、騎士達と王都へ向かうべく支度を済ませていた。

 

「いいんだな」

白い馬にまたがる騎士はそう聞いた。

「ええ。」

踊り子はまっすぐ騎士を見据えてはっきり返事をした。

騎士は踊り子を後ろに乗せた。

そして騎士の一行は劇場のある街を背に、王都へ向うのであった。

 

 

 

 

 

 

第一章はこの辺にて。

 

 

書き始めたら楽しくなってしまい、思いのほか長くなりそうです。

そしてこの歌白き馬が流れるべきシーンは必ずこの後の展開にあります。

早くその情景を伝えたい!

ぜひ続編を楽しみにしてください。

 

 

配信リリースを聴く

https://lnk.to/LZC-2332

 

YouTubeでフルバージョンを聴く

https://youtu.be/gJO9JZMi0Xg

  

歌詞

きっと晴れた日には

空を飛んで翔るから

あなたを背中に乗せてれば

どこまででも遥か先まで

 

朝日が迎えに来るからここにいて

頬を切る風は雲を懐かしむ

この手は届くから

地平の彼方まで走れ

 

青い花宿る命はもう輝いてる

それでも生きて行ける

煌めく体に触れてれば

迷わず辿り付けるはずだから

 

朝日が迎えに来るからここにいて

頬を切る風は雲を懐かしむ

この手は届くから

地平の彼方まで走れ

 

 

 

 

 

作曲部屋配信での制作メイキングです。

 

 

いつも作曲部屋では気の赴くままに曲を作っています。

思いつきと偶然の連続です。

 

 

ワンコーラスバージョン

 

  

 

 

 

ではでは、続編をお楽しみに。

 

 

 

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