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ヴァイオレット・エヴァーガーデン オーケストラコンサート2021を終えて

投稿者:斎藤滋
投稿日時:2021年8月17日

みなさん、こんにちは。斎藤です。

 

先週末にヴァイオレット・エヴァーガーデンのオーケストラコンサート2021がありました。2021年8月14日(土)、15日(日)の2日間3公演。LINE CUBE SHIBUYA(旧:渋谷公会堂)にて。

音楽プロデューサー及びコンサートプロデュースとして現場に入っておりました。

 

本番は終わりましたが配信はまだ続きます。ぜひ配信を一人でも多くの方に観ていただきたく、皆さんの興味を少しでも刺激出来たらと思い、また、自分の気持ちの整理のために文章にしてみたいと思いました。

 

ちなみにいわゆる舞台裏の話(≒ネタバレ的な話)も書きますので、その前提でよろしくお願いします。

ただ、本コンサートはそういう話を知ってから観覧してもらった方がより一層楽しめると思っています。

歌舞伎とか能を見る時にイヤホンガイドとか音声ガイドのようなモノを聞きながら観ると凄い楽しいですよね。理解が深まる。

旅行するときに詳しいガイドさんと一緒に回ると旅が何倍も楽しくなりますよね。あの感じ。

そういう感じになるようなお話とご理解ください。

なので、ネタバレというよりも解説という感じと思います。

よろしくお願いします。

 

念のため、数行空けます。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

このコンサートは本当は2021年2月に大宮ソニックシティで開催するハズだったものでした。しかしながら世相的に開催が難しかったため、改めて仕切り直しということで今回の運びとなりました。2021年1月頭のころにはすでに演出プランや、演出映像の編集は全て終わっていました。そう考えると熟成に熟成を重ねた熟成肉のような美味しさがあったのだろうと思います。

半分冗談ですが半分本当です。熟成すると演奏者、歌唱者、スタッフの気持ちも熟成されます。バネで言うと思いっきり縮ませた状態です。それが一気に跳ね上がるので跳躍力も凄い。気持ちが爆発するんです。それゆえ、今回のコンサートの演奏や歌は凄い熱量があったと感じています。

 

本コンサートはヴァイオレットの人生を音楽で振り返るという演出になっています。劇場版の冒頭と最後に登場するあぜ道を歩くカット。そして時計の音。このカットが大きな流れの区切りになっています。TVシリーズ、外伝、劇場版。それらを区切るのがこのあぜ道カットです。時間の流れをこのあぜ道カットで表現しています。

 

映像は映像でヴァイオレットの物語を振り返る内容になっています。映像を観ると、ギルベルトと出会ったころのヴァイオレットと劇場版のヴァイオレットでは顔立ちが違います。ヴァイオレットの年齢が上がるにつれ顔つきが大人になっていくんですね。今振り返るとTVシリーズのヴァイオレットは子供だったんだなと実感します。立ち居振る舞いがしっかりしているのでついつい大人の女性であるかのように錯覚しますがTVシリーズの時のヴァイオレットはまだまだ子供なんですね。そう考えると、子供ながらにあの人生はなかなかに壮絶で、そして彼女が生き方に迷うのも理解出来ます。

 

今回のコンサートを通して映像表現からもヴァイオレットの成長を改めて感じることが出来ました。

 
 

音楽。パンフレットに寄稿させていただいた楽曲解説にもたくさん書いていますのでそちらも併せて読んでみて欲しいと思います。(受注期間:2021年8月31日(火) 23:59まで・・・!
もうとにかくEvanメロディは最高なんですね。昔からEvanに対して劇伴こそメロディが問われるよと伝えてきたんですが、ヴァイオレットのEvanは想像の遙か先を行きました。

 

TVシリーズを作る時のロケハンにEvanにも同行してもらい、監督やスタッフとのコミュニケーションを深めてもらいました。ドイツにもEvanに同行してもらって同じくスタッフたちと同じモノを観て感じて会話してもらいました。その少しずつのコミュニケーションの積み重ねが良い音楽を生んだと思っています。音楽を作るのは人間です。人間は愛情が深い人や仲間のために何かをするときは通常以上の力を発揮します。

 

何かを創作するときには、そういう環境をなるべく作ることがクリエイティブのコツだと思っています。いつもいつも理想的な環境が作れるわけではないんですが、意識し続けると少しずつ叶います。

 

Evanがトークコーナーで言っていました。ヴァイオレットのスタッフは家族と同じであると。家族のために作る何かは最高のものだろうと思います。だからEvanの作るヴァイオレット音楽は最高だと思います。

 
 

歌手の3名様。そして石川由依さん。歌や表現に心が凄くこもっていました。いや、もちろん、皆さんプロ中のプロなのでいついかなるときでもプロの仕事をするのは当然なのです。しかしながら、これは親バカならぬスタッフバカと言ってくれて良いんですが、ヴァイオレットの歌を歌う時、セリフを言う時の真心は特別なモノを感じます。どの現場でも心を込めてパフォーマンスする皆さんですが、スタッフバカ目線としては特別感を持って受け取らせていただいています。勝手にそう思わせてもらっております。そしてそのパフォーマンスを観て感動しています。ありがたいことです。

結城アイラさん
TRUEさん
茅原実里さん

心を込めて歌うというのが、音楽の本質なんだなと改めて思いました。3名の歌手の皆さんは心を込めて歌うことが出来るから一流なんだなと思いました。石川由依さんのヴァイオレットセリフ朗読もまた、そうです。そしてヴァイオレットそのものなのです。他のスタッフとも同意見なのですが、ヴァイオレットのたたずまいと石川由依さんのたたずまいがうり二つに見えます。憑依というか、もはや同一人物感すらあります。これもまた凄いことです。

 
 

コンサートは人を幸せにします。

お客様も、演者も、スタッフも、みんな幸せです。幸せな着地を迎えるように頑張るわけです。

 

生きるというのは2つの意味があるように思います。生命活動を継続するという意味。もう1つは心がキラキラした状態になること。「生きていることを実感するなぁ」という感覚は後者だと思います。あの感じです。

 

コンサートは「生きていることを実感するなぁ」の場所だと思います。

 
 
 

現場の話。

今回、映像に凄く力を入れています。編集担当した方が凄い愛情で取り組んでおりまして、素晴らしい編集内容になっていました。それに呼応するように楽団の演奏内容とのシンクロ感にも大変にこだわりました。この音楽はこのシーンだ!という外せない箇所がたくさんありますので、演奏スピードと映像を合わせるのには非常に心を配りました。映像送出スタッフさんもお見事だったと思います。

リハーサルでも指揮者さんにもうちょっと早く、もうちょっと遅くをいつもお話していました。指揮者は吉田行地さんなんですが、行地さんは僕らの映像と合わせたいんだという気持ちを存分に汲み取っていただき、最後の最後まで調整してくださいました。行地さん最高です。ありがとうございます。

 
 

リハーサル初日、楽団の皆さんにお願いしました。

コンサートを観た人が明日も頑張ろうと思えるような希望の演奏しましょう。ということ。

そして本番当日も改めてそのことをお伝えし、加えて、一音一音に愛を込めましょう、ということも。楽団の皆さんの演奏には愛が込められていましたし、魂もありました。

 
 

楽団マネージャーの鳥越さん。

昔の西洋映画に出てくる東洋の商売人みたいなムードを持っている鳥越さん。書いてる僕は楽しいのですが、おそらく言葉では全く伝わらないと思います。すいません。

さて。リハーサル初日の最初の演奏がHappy birthday to youの曲でした。突如流れる誕生日の音楽。こんな譜面あったっけ?となるスタッフたち。そんな中、指揮者の行地さんが鳥越さんを指さし。鳥越さんに皆の目線が集まる。は!となる鳥越さん。そう、その日は鳥越さんの誕生日だったのです。指揮者、楽団の皆さんにはそういうユーモアもありました。こういう体験が少しずつ重なることで現場のムードが良くなっていきます。

 

ちなみに、ビオラのメンズは「良き自動手記人形の証」を皆さんで買いそろえて胸に付けていたそうです。鳥越さんも然り。あちこちにヴァイオレット愛がありました。

 
 

初日の公演でEvanが登場するときに少々早歩き感ありましたので「Walk slowly」と伝えましたら、Evanは「わかりました。もう少しゆっくり歩いた方が良いですね〜」と言っていました。慣れない英語で伝えたのに日本語で返してくるEvanはユーモアの分かるヤツです。

 
 
 

このコンサートは音楽を楽しむという側面ともう1つ、追体験を楽しむという要素に満ちていました。作品はこうやって追体験する楽しみ方もありますよね。

大好きになった作品にはなるべく触れ続けていたい。そういう気持ちは誰しもあると思います。もっとこの世界に浸っていたい。この世界にダイブし続けておきたい。浸り方は作品によって様々です。ヴァイオレットは今回この形がベストだったのではないかと思います。

 
 

2日目の夜公演のトークコーナーで石川由依さんに質問を託しましたが、このコンサートを世界中で公演したいなという夢があります。現実的に進めたい気持ちもありつつも、今の世相では海外を巡業するような計画は立てにくいです。だから世界を旅することがまた気軽に出来るようになる時までヴァイオレットの火が消えないようにしたいと思っています。名作はいつまでも愛されるはずと思います。10年も20年も前の映画が愛され続け、今でもそのコンサートが開催されるように。ヴァイオレットもきっとそうなるのではないかと思っています。願いです。願いは口にしたら叶うと言いますので口にしていきます。こうやって書きもします。

僕も大好きな映画がたくさんあります。コンサートで振り返りたいし、なんだったら時々は大きなスクリーンでまたその映画を観たいなぁと思います。公開が終わった映画をまた映画館で観たいという欲求ってあります。

色々な形でヴァイオレットがお客様に愛され続けてくれることを願っています。

そしてヴァイオレットの音楽で世界中を旅できる日を夢見ています。

世界中の人たちがヴァイオレットの音楽コンサートで感動を共有出来る未来が訪れるように。

 

さながらEvanが綴った音楽をスタッフが配達人として世界中に届けるような関係性でしょうか。

 

そういえば、コンサートが終わった後にEvanと感想のやりとりをしました。

Evanのテキストの最後はこうでした。

 


 

・・・・(本文略)・・・

Sincerely,

 

Violet Evangarden

 


 

彼は「Evanガーデン」だそうです。

やっぱりEvanはユーモアがわかるヤツです。

 
 

配信は2021年8月29日(日)までです。

ぜひ何度もご覧いただけたら幸いです。

 

詳細はこちら。

http://violet-evergarden.jp/special/orchestra/

 

ぜひよろしくお願いします。

 
 
 

斎藤 滋 プロフィール
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