皆さまこんにちは。ディレクターのタノウエです。
「不良坂」と聞いて、なにを思い浮かべますか?
僕が通っていた中学校は田舎町の更に山の上にあるような学校だったのですが、山を登る道を通称「不良坂」と呼んでいました。
山道を無理矢理コンクリートで舗装したような道で、斜面は急だし雪が降ったら滑って登れないし、文字通り「不良」な坂でした。
そんな状態の道だったのですが、名前の由来の候補がもうひとつありまして。
その昔(とは言ってもごく最近まで)は大層治安の悪い場所で、「ヤンキー=不良」がよく屯する場所だったことからこの名前がついたとかなんとか。
実際隠れてタバコを吸うにはもってこいの道ですし、カツアゲしてもバレなさそうな山道でした。
(あ、僕は真面目な学生生活を過ごしてましたよ!念の為。。。笑)
そんな不良坂、実際の由来は不明&今はどうなっているのかも分からずなのですが、
僕が通っていた頃から「子供に悪影響を与えるような呼び方はいかがなものか」という声がしばしば挙がっていたそうです。
言葉とは難しいもので、「不良」を“整備されていない”と捉えるか”ヤンキー”と捉えるかでかなり意味合いが変わってくるんですよね。
大抵こういったケースはより悪そうな・・・もっと言うと話題性が強いものが広まるケースが多く、「ヤンキーたちが屯する場所説」のほうが有力でした。
似たような事例としては、これまたゆかりの地、福岡市の天神にある「親不孝通り」。
これも名前への反対意見が多く、イメージ刷新のため一時期「親富孝通り」に改名されたのですが、結局今は馴染み深い「親不孝通り」に名前が戻ったという歴史があったりします。
こんなエピソードを聞くたびに、「たかが言葉、されど言葉。」とはいいますが、僕個人としては「たかが言葉、それが言葉。」とも思うのです。
そもそも言葉で表現できるものには限界がありますし、沢山の言語があるなかでひとつの単語=ひとつの解を出すのは難しい。
量子コンピュータでいう「重ね合わせ」みたいなもので、誰かが「こうだ」と決めるまではふよふよと色んな意味を孕んだモノでしかないと思うのです。
だからこそ伝わらないこともあるし、逆に多彩な表現ができる。そういう意味では「歌詞」というのは本当に奥が深いなといつもながら思います。
さてさて。こんな考察が捗りそうなオススメ本がありまして、
米原万里さんの「不実な美女か 貞淑な醜女か」という一冊。
タイトルからしてすでにパンチが効いていますが、これまた言葉についての考察がとっても面白いのです。
米原万里さん、本業はロシア語通訳家でして、それにまつわる言葉の壁や様々なエピソードをおもしろおかしく紹介したエッセイ本です。
この場では割愛しますが、、、いわゆる差別用語への考え方も「なるほどな〜」と思う部分が多かったです。
色んな意見を取り入れた結果どんどん表現方法が変わっていくなかで、言葉の本質とはなにかを突き詰めたお話なので
ご興味があるかたはぜひぜひ。
ちなみに米原万里さんの本全般に言えるのですが、とにかく尖っているといいますか、、、とってもユーモラス(主に下ネタ的な意味で)なので、苦手な方はご注意くださいm(_ _)m笑
道化の如く飄々とした文章のなかに核心を突いた言葉が散りばめられているので、そういった意味でも読み応え満点なオススメ本でございます。
ということで、今回はこの辺で。
タノウエでした〜( ´ᗜ`)ノ