2020年3月中旬。弊社のホームページがリニューアルされました。
リニューアル期間中ブログも投稿していなかったのですが、今日から再開です。
さて仕事の話ではないです。
ニューバランスの話です。
僕は7年くらい前からニューバランスのスニーカーを履いている。
それまでは色々な靴を履いていた。Red Wingのブーツ、アディダスのスニーカー、ナイキのスニーカー、メレルの靴。などなど。特に靴についての強いこだわりはなかった。その時その時の気分で買っていた。靴は数足しか持たず、古くなったら捨てて、新しいのを買ってという生活だった。
歩く距離が長い。仕事がらあちこちに移動する。タクシーはなるべく使わず、基本は電車と徒歩で移動する。日に何件も移動する場所があると多いときで1日のうち2時間くらいは歩いている時間だったりすることもある。
仕事の効率化を非常に重視している。仕事は迅速対応が命だと心がけているので、1分でも1秒でも時間は節約したい。でもゆっくり考えたり自分を癒やす時間は大いに贅沢に使いたい。確保したい。
身体が長持ちするようにしている。朝のジョギングをする。少々の筋トレもする。でも年齢とともに身体は衰えていく。おしゃれは我慢から。という言葉の通りに我慢をして、素敵だな(と自分が思う)服装をするようにしていた。でもとある時から考えが変わってきた。身体が長持ちするような服装にしていきたい。
単に楽であるだけではダメで、身体に優しくありつつ、でも社会人だし責任ある立場でもあるのでダサ過ぎるのは良くない。清潔感は大事だし、ある程度きちんとしている印象を持っていただく必要もある。格好付けすぎるのも自分は好まない。
というよう考え方が根底にあり、着る服装も変化していった。スティーブ・ジョブズがいつも同じ格好でプレゼンしていたという話は有名だ。色々な説があるが、どういう格好をするべきか?という選択を排除して思考の消耗を減らした、というような説がある。腑に落ちる。選択は精神を消耗する。ジョブズは服装のチョイスという選択を排除し、その分の消耗を防いだのだろう。本当はどうか分からないけど、僕はそれを信じている。
上半身はLOOPWHEELER(ループウィラー)。ここに行き着いた。
LOOPWHEELERの素晴らしさを語ると、ただでさえ長くなる今回のブログが倍以上になる。だから今回はLOOPWHEELERのことはこれ以上書かない。とにかく素晴らしいとだけ書いておく。
今日書くのはニューバランスのことだ。
身体に優しい、でもダサ過ぎないように。ということで行き着いた靴がニューバランス。ここからは格好付けてNew Balanceと書く。
歩く距離が多い、毎日たくさん歩く仕事だ。
だから足がもっと楽になるといいなと常々思っていた。New Balanceのスニーカーは履いたことがなかった。なぜなら高かったからだ。スニーカーとは数千円くらいで買う物で、履き心地の善し悪しはどれも一緒だから安いものを履いておけば良いと昔の僕は考えていた。だからNew Balanceのスニーカーは買わなかった。1万円以上、ものによっては2万円以上もする。そんなスニーカー履いてどうするんだ。若い頃は使えるお金も少ないからとてもじゃないがNew Balanceを買う気持ちにはならなかった。
でも、2013年6月17日に1度New Balanceを買っている。
M577 New Balance Country Fairだ。
店頭で衝動買いしたのだ。でもその時は沼にはまらなかった。理由はサイズだ。26.0cmを買ったのだ。しかし何度か履いているうちにキツくなり、痛くなるようになった。でも高かったからということで無理して数ヶ月は履いたが、痛いのはやはりダメだった。履かなくなった。New Balanceの素晴らしさに気づけないままお蔵入りとなっていった。サイズ感だったのだ。今となっては分かる。M577 New Balance Country Fairは素晴らしい靴だ。でもサイズを間違えた。それは自分が悪い。M577は悪くない。もったいないことをした。
不幸な勘違いで、自分の中でのNew Balanceは一度終わった。
記憶からも遠くなりつつあった。
しかしその数ヶ月後。今から約6年前、2013年の12月。なぜか再びNew Balanceのスニーカーが気になってしまった。きっかけはなんだったろうか。色々な要素があったと思う。ジョブズが履いてたから。梨花さんが履いていたから。ポニーキャニオンの三輪さんがしょっちゅう履いていたから。最後の理由が一番大きいのだと思う。三輪さんからNew Balanceのスニーカーは履き心地がとにかく最高だからぜひ履いてみるべきだと強く勧められたのだ。身近な人からスニーカーを強く勧められるということがそれまで無かったので、気持ちが動いた。そんなに良いのか?興味がわいた。色々な人にヒアリングをした。履いたことがある人たちは総じて素晴らしいと言う。
では買ってみよう、、と思って一念発起して探し始めた。New Balanceのスニーカーにはモビルスーツのように色々な番号が付けられている。当時の僕には謎だらけだった。入門者には何がふさわしいのか。どうやらM1400というのが良いらしいと行き着いた。高い。なんでこんなに高いんだ。当時は分かってなかった。でも三輪さんを初めとして色々な人が素晴らしいと言う。高いだけあって凄いに違いないと思うようになっていった。
いざM1400を探してみると、無い。靴屋を何軒も回っても、無い。ネットで買うということも考えたが初めて買う靴をいきなりネットで買うのは怖い。サイズ感がまるで分からないからだ。
毎日のように移動中のタイミングを見つけては靴屋を回った。M1400スティールブルーには時々出会えたが、当時の僕はなぜかスティールブルーはダサいと思い込んでいた。ネイビーが欲しかった。でもどこの靴屋にも置いてない。ようやく出会えたのがM1400のモスグリーンだった。緑の靴を履いている自分が全く想像出来なかったが、その時の僕はとにかくM1400を履いてみたいという気持ちが先行した。
M1400の26.5cmを購入。ワイズの表記はDと書いてあったがなんのことやら分からず、D以外の選択肢は無い様子だったので特に気にせず購入。2013年12月16日だ。
そこから人生が変わってしまった。良い方向にだ。
今までの日常で繰り返されていた動作が、とあるガジェット1つで劇的に変わるという経験はそんなに多くないだろう。ちょっと変わる、ちょっと便利になった。みたいな経験は多い。Apple Watchのように。ちょっと便利になったね。みたいな。
「劇的に」変化するという経験はそうそうは無いのではないだろうか。
人生のうちでそう多くは経験しないであろう「劇的に」変化する体験をしたのだ。それがM1400だった。
こんなに楽に歩けるのか。こんなに疲れないで済むのか。仕事がらライブ仕事も多い。ライブの日はほぼ1日中立っている、歩いている。本番中はPA席でひたすら立っている。
その全てが圧倒的に劇的に「楽」になった。
この変化には驚愕した。
人は「楽」を経験してしまうともうその前には戻れなくなる。
靴もそうだった。M1400を履いてしまったその日から、もう他のスニーカーは履けなくなった。履きたくなくなった。
M1400MG(モスグリーンの略)を履き続けているうちに、他の色も履きたくなった。さすがに毎日毎日同じ靴だと靴の消耗も激しいし、気持ち的にも変化が出なくなる。
もともと欲しかったネイビーを探してみることにした。靴屋には置いてない。当時は劇的にM1400が手に入りにくい時期だったように思う。
サイズ感も理解できたのでネットを探すことにした。あれこれ探し回ってついに手に入れた。M1400NV(ネイビー)。M1400NVはJ.Crewの別注から始まった、、、的なエピソードはここでは割愛。ネットのあちこちで語られている。
M1400NVを通販で買った。確か楽天。靴を通販で買うという体験をここで筆卸しした。靴というのは必ず靴屋で試着してから買うものだと幼いころから親に教えられてきた自分にとって試着無しで靴を買うというのは大冒険だった。
届いた。履いた。ぴったりだった。型番とサイズが合っているのだから当たり前だ。でも感動があった。通販で買ってもいいんだ、靴って。。。と知ってしまった。
ここからNew Balance沼に浸かっていく。今でも浸かりっぱなしだ。心地よい沼だから抜けだそうとはちっとも思ってない。
そこからはM1400の色違いをあれこれと購入するようになった。高いから買わないと言っていた昔の自分が見たら驚くだろう。
M1400 SB
M1400 BE
M1400 BKS
M1400 HR
M1400 CBY
歩く。という生きていく上で必ず発生する行為に常に紐付き、それを心地良くするという理由が、New Balanceのスニーカーを買うにあたって、他の着類よりも圧倒的に心理的ハードルを下げるのだ。「だって歩くのが楽になるから」「身体に良いから」。この最強の理由が自分を後押しするのだ。身体に良いかどうかは靴というよりも自分の心がけ次第なので割と自分本位な理由だが。歩くのが楽になるというのは本当だ。
とにかくM1400を履き続けた。
そうなると変な対抗意識が生まれる。
New Balanceの他の型番を認めないようになってくる。
履いたこともないのに、M1400が最高峰だと決めつけて生きていた。
M996、M1500、などなど。M1300は雲の上に居るかと錯覚するくらい凄いらしい。みたいな話も聞く。
でも今自分が履いているのはM1400で、それは人生を変えるくらいには最高で、だからM1400以外は履く気にならない。
と思い込んでいた。
そんな自分が少しずつ変わる時が来た。
ポニーキャニオンの三輪さんが色々なNew Balanceを履いているのだ。M1400を勧めてくれて感謝です、的なトークもするようになっていたある日、他の型番も良いのだと語られた。
M996とかM990v2~992くらいのパッと見ダサく見えがちなものとか。
三輪さんが言うなら、、という気持ちが芽生えた。他の型番も何か履いてみよう。また素晴らしい出会いがあるかもしれないし、それによってM1400の素晴らしさをより一層味わえるかもしれない。色々な気持ちが生まれてきた。
次に何を購入したか、なぜか記憶が薄い。
おそらくあれこれ同時期にたくさん手を出したので、記憶が曖昧になっている。
M996、M576、M1300を同じくらいの時期に買っていると思う。
変わり種ではこれ。M9915 SP。M991のアッパーに、M1500のミッドソール&アウトソール。これは26.5を購入してきつくて痛いという経験をした。そこから後述するM991購入時は27にするという知恵を得た。
とりわけ、M996にとても感動をしたのを覚えている。2016年8月には、コンサート仕事の際はM996だと断言している。
それまではM1400が立ち仕事には最適だと思っていた。このくらいの時期にそれはM996に塗り替えられたようだ。
M996はSL-1ラストだが、26.5がジャストサイズだ。27だとおそらく少し緩く感じると思う。990番台は基本は27が良いと思っているが、996だけは26.5がちょうど良い。
M996が素晴らしい理由は歩きやすさだ。これはなぜなんだろうと色々と考えてみた。理由の1つはアウトソールだと思うようになった。996のアウトソールは凸凹が少なめなのだ。もともと990番台はオンロード用に開発されたというが、996のアウトソールはことさら平面感が強調されている。これが路面との摩擦係数を減らしている的なことではないだろうか。ただその理屈でいうと革靴のアウトソール(溝が全くないやつ)が最高に歩きやすいという結論になるような気もするが、革靴のそれよりも996の方が圧倒的に歩きやすい気がする。ほどよく路面をグリップしながら、でも抵抗感も少ない。舗装道路を歩く上では極上の設計になっているように思う。
996は990番台では初期のものとされているが、クッション性は素晴らしい。最先端の990v5とは違う領域の心地よさである。いつまでも歩いて行ける気持ちになる。そして履いていることをいつか忘れさせる。これが996の凄いところだと思う。履いてます!履いているぞ!という充実感に満たされ続けやすい991、992、990v~と比べて、996は家を出てしばらくしたらその存在を忘れていく感じである。デザイン的にも汎用性が高いことと相まってロングセラーとなっているのだと思う。
M1300。いわゆる5年に1回復刻されるM1300JPシリーズは購入出来たことがない。だからラルフローレンさんが「まるで雲の上のようだ」と称したその感覚はまだ味わえていない。
僕が履いたことがあるM1300は、M1300DSP、M1300CLの2つ。これがJPと比べてどう違うのかはいずれ知ってみたいが今はまだ分かってない。
M1300 DSP
M1300 CL
M1300DSPとM1300CLはこれまた履き心地が全然違う。DSPはふかふかなのだ。とても柔らかい。ふかふか過ぎて反発力が得られにくいとも言える。羽毛布団の上を歩いているようだ。CLは固めだ。M576に近いものがあるような気がしていたのだが、そうではなくてM1500のそれに近いものがあるのだと最近気がついた。
サイズ感。M1300CLは26.5、DSPも26.5。でもCLの方が足の中が狭く感じる。きついということではないが狭く感じる程度だ。DSPもCLも今はレギュラー選手としては履いていない。時々気分転換に履く程度だ。今では990番台の方が歩きやすいと感じるようになった。
M576。赤い革のNew Balanceが履きたくて購入。
色味は非常にインパクトがあり美しい。サイズは26.5。ミッドソールは堅い印象。履き心地はスニーカーの革靴といった印象で固め。かっちりしている靴だと思う。それほど登板回数は多くない。それは固めなのが原因ではない。内張りの部分も革なのだ。脱ぎ履きするときの摩擦が強い。なので履きにくい、脱ぎにくい。これが原因であまり履かなくなってしまった。M576の名誉のためにフォローすると、靴としてのレベルは非常に高い。
M1700。あまりにも高額なので躊躇していたのだが、ネットでのレビューは何を見ても大絶賛。最高峰の履き心地。全面アブゾーブ。史上最高。これ以上は無い。一生履き続けたい。などのちょっと常軌を逸するレベルの大絶賛の言葉が並ぶ。もうこの頃は完全にNew Balance沼にはまっているので、靴が必要なのではなくて、New Balanceのあらゆる型番の履き心地を体験したいという欲望で突き進んでいた。
そして購入。確かに凄い履き心地の良さだ。色々な型番を履いてもう十分New Balanceワールドのことは理解していたつもりだったが、また違う世界があることを知った。この新しい世界を知る、というのがNew Balance沼の楽しいところだ。型番の数だけ新しい世界が待っている。だからこの沼から抜けられない。抜けたくない。M1700は26.5を購入。ジャストサイズだ。
立っている時間が長い日はこの靴を履くようにしていた。過去形なのは、そのポジションは今はM990v5が獲得したからだ。そう、M990v5はM1700を超える履き心地だと感じている。M990v5がM1700に勝っていると感じるのは靴の入り口付近の布の分厚さだ。ここの分厚さが圧倒的な安定感に繋がっていると感じる。M1700も負けてないが、M990v5の分厚さには負けると思った。M1700はGRAを履いている。素晴らしい履き心地だったのでM1700CAA(つまり黒)も欲しいなと思っていたがなかなか再生産されないまま今に至り、M990v5に僕の心は奪われていった。
そしてしばらく新しい型番とは出会わない年月が過ぎた。その期間。M996の色違いを何足か購入していたことを考えると自分に合うのはM996だと無自覚に認識しはじめていたのかもしれない。
ふらりと立ち寄ったNew Balance実店舗でM990v2に偶然出会い、デザインが気に入って購入。
このとき初めて27cmにしてみた。いつもの26.5を試着したところ右足の小指が少し当たる感じがした。0.5cmアップしたところジャストサイズな感じがした。ただ足に対しては少し面長に感じた。ただそんなに嫌な感じではない。
その時、M990系統は27cmという選択肢も考慮すべきだということを知る。
でもM996は26.5cmがジャストサイズだという迷いも持ちながら。
そしてM990v5が登場。M990v4には全く心惹かれなかった。M990系のつま先付近のムードが好きになれず、デザインがダサいと思っていた。スティーブ・ジョブズが履いていたのはM991~992という話は知っていた。ジョブズ好きとしてはあやかりたい。いや、デザインにこだわるジョブズが履いているということは何か理由がある。おそらく効率的なのだろう。履き心地や仕事のしやすさなど。絶対に理由があるはずだと思っていた。潜在的にはM990~に惹かれるものがあった。でもデザインがどうしても納得できていなかった。
しかしながら、M990v5の広告は素晴らしかった。広告にやられた。
M990v5の広告デザインは格好良かった。New Balanceの自信がみなぎっていた。大好きなNew Balance、絶対的な信頼を置いているNew Balance。そのNew Balanceがここまで啖呵を切ってくるというのはよほどのことだ。これは履いてみないわけにはいかない。という発想で購入を決定。広告とは偉大なものだと思った。
これまでの色々な経験と知識を総動員して、サイズを決めた。ワイズ2Eで、26.5cmにした。いつもはワイズDで26.5cm。M990v2が27cmワイズDで幅はジャストだが若干ルックスが面長だったことを考えると、サイズはそのままでワイズを広げればさらなるジャストサイズが味わえるのではないか。そう予想した。
ここまで読んでいただけた方にはなんとなく察していただいていると思うが、New Balanceのスニーカーを購入するのは実店舗ではない。基本全て通販だ。公式通販が8割ほどだが、公式では手に入らない場合はネットの海を旅して探す。サイズが合わなかったらどうするんだ。という心配はほぼ不要。New Balance公式通販においてはだが、購入後サイズが合わない場合は返却が可能なのだ。もちろん自宅内での試し履きレベルならば、だ。何日間か外を歩いてみてからの返却はNG。ただ実際、靴というのは何日間か日常生活を送ってみないと本当に合っているかどうかは分からない。それは実店舗で購入しようが通販で購入しようが一緒だ。
そういうわけで、M990v5は発売前の予約段階ですでに申し込むことになり、サイズ感は過去の経験値からの推測で選ぶことにした。
ついに自分もこの領域に踏み出すのかと感慨深ささえあった。M1400やM996のクラシカルデザインなNew Balanceはおしゃれと言われることが多く、実際に(デザイン的に)履きやすいし街にも馴染む。しかしM990~はダサいと言われることが多く、実際に目立つ。悪目立ちする。New Balanceマニア的な方々はそこに愛おしさを感じるようだというのはネットのレビュー検索の日々で分かっていた。学校の先生が数十年後の同窓会で「できの悪い子ほど良く覚えているものだ」と語るやつ。ああいう感じなんだろうな。と思っていた。もちろんM990~の出来が悪いなんてことはない。あくまで例え話だ。
M990v5が届いた。
その時の自分的なワクワクは「2Eってどんな感じだろう」ということが一番だった。確かに広い。靴の中が広い。小指も親指も余裕綽々だ。こんな広い空間が靴の中に存在するなんて驚きだ。サイズとしては26.5なので面長感が無い。上からのルックスは面長というよりもむしろぽっちゃりという感じになった。同じ身長でウエストサイズだけがアップすればそれはぽっちゃりになるのは当たり前なのだ。このぽっちゃりが嫌ならばワイスDで27を買うべきなのだろう。
購入以来、M990v5で立ち仕事に出ることが多くなった。靴の履き心地は2つある。歩行時の快適さ。これは誰しもが注目する。もう1つはずっと立ち続けている時の快適さ。僕の仕事においては後者はとても重要だ。ライブの現場は基本ずっと立っている。歩行する時間よりもじっと立っている時間が多い。ここの疲労軽減は実に重要だ。集中力の維持に圧倒的な差が出る。そういう視点で考えるとM990v5は長時間、それこそ終日立ってても辛くない。これはワイズ2Eであることの効果も大きい。長時間立っていると何が起こるかというと足のむくみだ。それにより朝は当たらなかった小指が内壁に当たりだして痛くなるという現象が起こりがち。サイズがぴっちりしすぎているとこの小指が内壁に当たるというのはとても辛い。1日が終わるころは苦行のようになっていることもある。ワイズ2Eだとむくんでも内壁にぶつからない。
この朝と夜の足のむくむ具合すらカバー出来るのが本当に履き心地の良い靴なのだ。
M990v5の素晴らしさは靴に使われている生地の厚さ。特にヒール周り、足を靴に入れる時に足に触る部分。ここの生地が分厚いのが素晴らしい包み込み具合を感じさせてくれる。
それが安定性に繋がっている。クッション性は硬めだ。M1300DSPが羽毛布団だとしたらM990v5はテンピュールと言ったところだと思う。
M990v5はストレスが少ない。ゆえに登板回数は多い。迷ったら履いておけ。そういう感じで今は活躍している。
M990v5の素晴らしさに心と身体が馴染み始めると次に興味がわくのはM990の系譜についてだ。
つま先付近のダサいと思っていたデザインにもはやすっかり馴染めた。そうなるとM991やM992を体験したくなってくる。M990v5よりも数世代も前の靴なのだから、M990v5よりは機能的に劣るはずだが、愛好家も多い。
このあたりでだんだん理解が深まってくるのだが、New BalanceのスニーカーはM1300初代やM990初代あたりですでに素晴らしい履き心地は完成されていたのだと思う。その後様々な型番で様々な履き心地が提供されたが、時代が進んで型番が進めば進むほど優劣の差が付くということではないように感じている。型番の違いは優劣の差ではなく、個性の差なのだ。どれも素晴らしい履き心地であることには間違いない。ちょっとした個性の差でしかないのだ。だから最新のものがその人にとってBESTかというとそうでもない。実際M990v5よりもM1400やM996の方が好き。という人も多いだろう。iPhoneやパソコンはCPUやメモリなどの面で、新しいものが常に最高であるが、New Balanceのスニーカーはそうではないのだ。
そういうわけでM990v5より数世代前のM991やM992の「個性」も知ってみたいと思うようになった。
M991の話。Googleの広告機能は驚くほど優秀だ。ネットサーフィンをしているとほぼ確実に僕が興味を持っているNew Balanceの型番を表示してくる。M991を頻繁に出すようになってきた。さてさてM991とはどんな靴なのか。徐々に興味がわいてくる。New Balance公式でも取り扱いがあるが残っているのは妙な具合の色のものだけだ。売れ残っているだけあるなと思わせてくれる配色なのだ。公式ではない通販サイトにはまだ割と素敵だなと思える色が残っている。サイズもある。でもいわゆるど定番であるグレーのM991GTはもうどこにも無い。
色々見て回るうちに、お!これは良いかもと思えるカラーに出会えた。M991NGN。サイズもある。ワイズはDしか選べない。M991NGN、ワイズD、27を購入してみた。過去の経験上、このサイズ感で間違いないだろう。
実際、ぴったりだった。これが驚くほどにぴったりだった。ここに至るまで数多くの型番を履いてきたが、こんなにジャストサイズだと思える型番に出会えたのは初めてではないか?と思えるほどにぴったりだった。そして履き心地も良い。ミッドソールの反発具合もほどよい。柔らかすぎず。調べてみたらM991はMade in Englandだった。Made in Englandはタイトめなのだ。990シリーズで、Made in Englandで、ワイズDならば、これはもう27で正解だったのも頷ける。Made in Englandの特徴として、ミッドソールが少し硬いというのがあると思う。このM991はそのバランスが最高なのだ。ルックスはゴツゴツしている。それがまたメカ好き男子の心もくすぐるのだと思う。ミッドソールが少し硬いというのは地面からの反発をもらえるということでもある。前に前に足が進む印象なのだ。M991で好きな点としては、シュータンの分厚さ。シュータンが分厚いというのは履き心地に直結する。足の甲へ負担を軽減することは履き心地に直結すると思うのだ。ミッドソール、インソールももちろん大事だが、シュータンの重要性はあまり語られない。M991~M990v5あたりのシュータンの分厚さは素晴らしい。これはM1000番台には感じられない。M1000番台のシュータンは990番台のそれと比べると分厚くない。実はM1000番台と990番台の違いで一番大きいのはシュータンの厚さなのではないか?と思えてくる。
M991NGNを履いた初日に「これはもう1足買っておくべきだ」と脳内の悪魔(実は天使だと思うが)がささやく。そしてまたネットの海へ旅に出た。サイズ感は完全に把握した。27でワイズD。というかワイズDしか出てこないのだが。あれこれ調べると、まだ割とネット通販では買える。M991も色々な配色が世に出ている。当たり前であるが、妙な配色のものは余り気味。カッコイイものはそんなに存在しない。靴は日常的に履くものなのであまり主張が激しく無い方が良いのだ。なので、New Balance定番のグレーなんかは最高なのだ。逆に凝ってしまって多色になっているものは基本は悪目立ちする。色を使うには1色のトーンチェンジか、もしくは2色が限界だと思う。3色以上の配色で落ち着きを伴えるのは割と奇跡的な確率ではないかと思っている。M991の妙な配色はパスし続けていき、見つけたのがM991NNN。ネイビーで統一されている。メッシュと光沢のある革の組み合わせ。値段も適切。サイズもあった。
このM991NNNは革が光沢感あるもののため、M991NGNよりも硬い印象だ。でも悪くない。M991はNGNとNNNの2つを持っていれば十分だ。もし将来公式がM991GTを復刻するようなことがあったらそれは欲しいが。
やはりNew Balanceは何を置いてもグレーなのだ。
グレーこそ万能だとつくづく思わされる。New Balanceのグレーと言っても色々あるが、グレーという色味はどんなシチュエーションや服装にも合う。万能選手なのだ。ゆえに、公式で受注が始まったらグレーはまず真っ先に消える。先日(2020年2月)に復刻の受注が始まったM992のグレー(M992GR)は17時から受け付け開始だったが瞬殺だった。その日17時からパソコン前でスタンバイしていたのだが、ちょうど16時55分くらいから急ぎの仕事の対応が入り、New Balanceのサイトにアクセスできたのは、17時20分ころだった。もうほぼ全てのサイズが無くなっていた。2020年4月にもまた受付があるとのことだが、その日その時間にパソコンの前にスタンバイ出来ているかどうかはまだ分からない。
M992はぜひ履いてみたかったので悲しみに暮れていた。
そうしたら飛び込んできた情報があった。NB1でM992が選べますと。
まさかそんなことが。
NB1というのは、自分で各パーツの配色を選べるカスタムメイドできるサービスだ。その分、レギュラー商品よりも5000円以上高くなってしまう。注文してから4週間~7週間で届くという。NB1は日本だと時々実施されている。年中ではない。今回もNB1が実施されていることは分かっていたので、あれこれデザインを組んでみていたが、購入には至ってなかった。色んな配色が出来るからといってゴテゴテしいものにするとダサくなる。シンプルな配色にすると公式で売られているものと大差なくなる。ということで二の足を踏んでいた。だがM992が選べるということを知った。M992GR争奪戦に敗北した身としては、M992GRに近いものをNB1で作ってしまえば良いのでは無いかと思った。善は急げということでGRの画像を参考にしながらNB1でデザインに取り組んでみた。これがNB1というのは上手く出来ていて、公式で作っている配色通りのものは再現が出来ないのだ。ちょっとした色味の違いでGRの完全再現はNB1では難しい。似ているけどちょっと違うというのは出来る。それで良いと割り切って、可能な限り似せたものを作ってみた。が、最後の最後は自分の趣味を投入したくなり、GRにはない配色を少しだけ盛り込んでみた。
NB1というのはきっとこういう楽しみ方で良いのだろう。
最大で2ヶ月後かと思って気長に待っていたら、なんと2週間強で発送のお知らせがやってきた。
M992がしかもNB1で我が家にやって来る。妙な興奮を覚える。ドキドキワクワクである。
どんなものなのだろう。M992はジョブズが履いていた!と各地で騒がれる靴だ。M991も履いていたらしいし、M993も履いていたという説もあるが、つまりジョブズは当時の990シリーズで手に入るものを履いていたということなのだろう。でもM992は特別感があり、New Balance100周年記念という冠を持っていたり、今まで復刻されることが無かったとかなんとかということで、かなり特別扱いされている型番だ。そのM992がやってくるヤァヤァヤァということであればそれはドキドキワクワクする。
やってきたM992は威厳があった。
実際の印象としては、重量感。ミッドソールがとても重たい印象。ゆえに靴全体の重量感も過去履いてきた型番の中では最もあると感じた。履き心地はM991の延長線上というよりは、M990v5に近いモッチリとした包み込まれ具合だ。歩行の印象としては、M991よりも柔らかい。M990v5と比べると相当柔らかい部類だと思った。歩いている時のクッション性が高い。逆に推進力という意味では劣る。推進力という意味ではM991の方が歩きやすい。M992はある意味コレクターズアイテムの部類かもしれない。実用性ではM991の方が上な気がしている。ただ、もっと長い期間履いてみたら印象はまた変わるのかもしれない。この文章を打っている今はまだM992を3回しか履いていないからだ。
NB1でM992GRに極力似せてみようと思ったものの、やはり印象は割と遠くなった。選ぶ色数を基本1色にして、アクセント的に2色目を使ってみた。例外としてはNマークとシューレース最上部。つま先付近、左右、後ろは1色のグラデーション違いにするのが良いと思う。そう考えるとM992GRはやはり特別な一足なのだろう。2020年4月にもう1回手に入れるチャンスが来るというのでぜひ挑戦したいと思う。
そしてつい最近M1500に新色が出た。公式サイトの文言はこうだ。「重厚な佇まいを英国ならではの上質なピッグスキンスエード/メッシュのコンビアッパー素材で包み込みニューバランスの定番カラーで展開する“CLASSIC PACK”をユニセックスサイズでリリース。」定番グレー。これは瞬殺するぞと思ったが全く瞬殺しなかった。時々こういうこと、ある。
でも良い買い物だったと思う。
M1500 PGL
そして今、最終的にレギュラー選手は何になっているか。好きな型番と色は何か。
自分の持っている型番限定のランキングはこうだ。(2020年3月15日現在。時が経つとランキングはきっとガラリと変わる。)
<履いている時の気持ちの満たされ度>
1位:M990v5
2位:M992 NB1オーダーメイド
3位:M991 NGN
4位:M991 NNN
5位:M1500 PGL
6位:M996 DK
7位:M1400 CBY
7位:M996 NAV
8位:M1700 GRA
9位:M1300 CL
10位:M990v2 GR2
<履き心地>
1位:M990v5
2位:M996
3位:M991
4位:M1400
5位:M1700
6位:M1500
7位:M992
8位:M990v2
9位:M1300
10位:M576
<2020年3月15日現在のレギュラー選手>
・M990v5 GL5
・M991 NGN
・M991 NNN
・M992 NB1
・M996 DK
・M996 NAV
・M996 JFB
・M1400 CBY
・M1700 GRA
・M900v2 GR2
<所有New Balance一覧>
M1400 NV
M1400 MG
M1400 SB
M1400 BKS
M1400 CT
M1400 CBY
M1400 HR
M1400 BE
M1500 PGL
M1700 GRA
M1300 CL
M1300 DSP
M996 JFB
M996 DK(30th Anniversary MADE IN USA)
M996 NAV
M996 MUA
M996 MUB
M996 LRB
M576 RED
M990v2 GR2
M990v5 GL5
M990v5 NB1オーダーメイド(デザインID:7695638)
M991 NGN
M991 NNN
M992 NB1オーダーメイド(デザインID:7518193)
M9915 SP
<サイズ感について>
僕なりの分析をしてみた。
・国の違い:Made in USA と Made in England:USAの方が気持ちおおらか。Englandは少しギュっとしてる。
・ラストの違い:SL-1ラスト と SL-2ラスト:1の方が細身。2はゆったりめ。
・ワイズの違い:D と 2E:Dは細め。2Eになるといきなり世界が広くなる。広くなりすぎる傾向があるので2Eを選ぶくらいならDままで0.5cm~1cmアップの方が良い場合もある。(4Eは未経験なのでここでは割愛)
この3つの違いを意識してサイズを選ぶのが良い。最初は全く分からないだろうから実店舗で何足も何足も履いてみて経験値と体験値を高めるのが良い。その先は自分の足に何が合うかをひたすら捜す旅だ。失敗することもあると思うが、必ず将来生きてくる失敗だ。失敗を重ねた先に待っている自分の足に100%フィットする靴に出会えた時の喜びは格別なものがある。靴が100%気持ち良いと人生は割と劇的に変わる。出かけるのが楽しくなるし、徒歩移動が嬉しくなる。1日が終わった後の足のストレスは相当少ない。それによって余計なストレスを抱える必要も無い。人生は靴探しと言っても過言では無いと思う。
と、いうように熱くかつ楽しく語ることが出来てしまうのがNew Balanceの沼だ。
そしてそれはとても幸せな沼だ。
これからも沼にはまり続けていきたいと思う。