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雪の日のライブ

投稿者:斎藤滋
投稿日時:2020年3月29日

ハートカンパニーも影響を色々受けている世間の状況。

これまでの仕事人生でもたくさんの困難な状況があった。

 
0311。大きな地震。あの時はとあるアニメのアフレコ現場に居た。

スタジオのドアは重たいから、閉じ込められたら大変だとすぐにドアを開けて逃げ道を確保。

そのままスタジオでTVを付けて様子を見ていた。

 
その時収録すべき声優さんがとある大御所のお二人だった。

まさに今アフレコするぞ、というときだった。

揺れが収まった。だからといってすぐに外に出るのも危険だろうと。国や自治体からの発表は指示があるまではしばらくスタジオに待機していた方が良いだろうとなった。

 
となると、やることがない。

滅多にスケジュールが揃わない大御所のお二人がいる。スタッフも揃っている。

揺れはしたがスタジオの機能は何も損なわれていない。

 
じゃあ、録音はしておくか。大御所のお二人が「せっかく揃ってるし、時間もあるからやりましょう〜」と明るいムードでやろうやろうと言い出してくれた。

で、そのお二人の収録を実施した。

笑い話と言えば笑い話かもしれない。鮮明に記憶に残っている。

あのアフレコはたぶん記憶に残り続ける。

 
そんなこともあった。

 
 
ラブライブ!。

2014年2月8日。さいたまスーパーアリーナ。

μ’s→NEXT LoveLive!2014 ~ENDLESS PARADE~。

大きくなってきたμ’s。さいたまスーパーアリーナ。

立ち上げた時は小さい存在だったμ’sも、もう立派に成長したみたいな話もしつつ迎えた当日。

当日は雪の予報。そしてやっぱり雪は降った。

どんどん降ってきた。交通機関の乱れも出てきた。さいたまスーパーアリーナまで時間通りにたどり着けないお客様もいそうだ。

せっかくのさいたまスーパーアリーナライブなのに、、、と意気消沈しそうなスタッフに当時のランティス井上社長が笑顔で言った言葉があった。

「雪の日のライブはラッキーだと思えば良い」(そんなニュアンスだったと思う。ちょっとうろ覚えです。)

普通のライブはたくさんあるライブの1つでしかなく、いずれ記憶に埋もれていくが、何かトラブルがあったライブは人の記憶に残り、ずっと語り継がれるからだと。

なるほど。確かにそうなのだ。実際僕は今でもあの日のことはたくさん覚えている。

 
余談だが、あの日の記憶はもう1つある。

ライブ終了後、外は大雪。どっさり積もっている。社長と僕は家が割と近い。なので社長の車に乗せて帰らせてもらうことになった。

が、普段は空いているときなら1時間くらいで帰れる道が、そうではなかった。首都高が大雪のためにほぼ進まなくなった。立ち往生だ。

大雪の首都高で、2〜3時間くらいはじっとしていたような記憶がある。会話する内容もまばらになってきたので、最後は車中でラジオ「田村ゆかりのいたずら黒うさぎ」(文化放送)を二人でじっくり聞くという状況になった。どんないたずらだ、と心の中で思っていた。

 
ということで、大雪のライブ。記憶に残っている。

 
 
 
トラブルが無く実施出来るのが一番良い。

でもトラブルは予期せず起こる。

起こってしまったら対応するしかない。

 
具体的な対応もする。

同時に気持ちの対応もする。

 
人は想い出の生き物だと思うから、記憶に残るのは大切だ。

歴史は語り継がれることで歴史になる。語り継ぐには記憶に残る必要がある。

せっかくエンターテインメントやるならやっぱり人の記憶に残って欲しい。

 
困難な道のりを乗り越えて達成したエンターテインメントは記憶に残るのだ。

 
ただいま映画を作っている。スタッフの一員だ。とても良い熱量が集中している。きっと傑作になる。すでに確信している。

制作中、色々な予期せぬトラブルが次から次へとやってきた。尋常ならざることもあった。でも乗り越えて制作は進んでいる。トラブルを乗り越える度に想い入れは強まり、作品の強度が上がっていると感じる。

スタッフ一同の記憶に必ず残り続ける仕事になっている。

この映画を観ていただいたお客様の記憶にも残り続けるはずだと思う。

 
 
今直面している案件は全て記憶に残る。

今は毎日のようにそう思って気持ちの対応をしている。

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