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ヴァイオレット・エヴァーガーデン 記録と記憶 その1

投稿者:斎藤滋
投稿日時:2020年4月13日

ヴァイオレット・エヴァーガーデン。

 

 

非常に愛すべき人物。そして作品。プロデューサー、そして音楽プロデューサーとして長く携わっている。

でも、今までヴァイオレットについて積極的に語ることはしてこなかった。

それは語るまでもなかったからだ。

 

小説アニメで多くの人がヴァイオレットを知った。

そこに僕の枝葉のようなエピソードや思い入れを加える必要は無かったのだけれど、「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」公開に向けて制作におけるストーリーを知ってもらえると、さらに映画を楽しんでもらえるようになるのではだろうか。そう考えてみた。

 

ここで言う「ストーリー」は、ヴァイオレット・エヴァーガーデンを作ってきた人たちのストーリーのことだ。作品が作られている背景を語りすぎるのは野暮なのかもしれない。出来上がった作品に全てが込められている。だから背景などは語りすぎないようにする。そういう考えがあった。実際、ヴァイオレット・エヴァーガーデンという作品は完成した映像と音楽が全てを伝えてくれていた。

 

語りすぎず、でも良い感じに伝えておきたい。そうすることで「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」への解像度がより高くなっていくだろう。そう思うに至った。

 

ストーリー。

関わった全てのスタッフ、全てのお客さんにストーリーがある。それが積み重なってヴァイオレット・エヴァーガーデンを形作っている。

 

いつか映画が公開されるときに、ぜひそのストーリーを少しでも知ってもらえたらと思って書いてみることにした。

僕が書けるのは、僕の視界に映った事象でしかない。だからいくら熱量を込めて書いても、限られた視野での話だ。全てでは無い。でも何も発しないよりは、スタッフの熱量と愛情は伝わると思う。

 
 

出会いは2015年頭ころ。

新しい企画として出会った小説のタイトルが「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」だった。

すみれの庭、みたいな話かな。すみれの庭ってなんだろう。Everな庭ってのは、なんだか上品だし、永続的な感じがする。若草物語のようなお話だろうか。

今思えば浅はかな想像力なのだが、そんなことをチラリと感じながら原稿を読んでみた。

 
 

恋をした。

 
 

こんなに心にスッと入ってくる物語があっただろうか。

僕は小説をたくさん読む人ではない。だから世の中の色々な物語はそんなに知らない方だと思う。だからこの表現はあくまでも僕基準の表現。

 

圧倒的な心への染み込み。

 

染み込んで、そして離れない。

現実世界で例えると、白いワイシャツに跳ね飛んだカレーうどんのように。それくらい離れない。どうしても真面目に書き続けると途中でくだらないことを差し込みたくなる。そういう性質なので、よろしくお願いします。

 

圧倒的だった。

文体も、改行の具合も、そして物語そのものも。

 

心を持って行かれた。

これは恋だ。

 

こんな感覚に陥ることが出来るんだと驚いた。

ヴァイオレットという人のことが気になって仕方がない。

一生懸命に生きている。健気で、誠実で、邪気が無い。淡々としているが、人のことを考えている。こんな表現があった。「無口だけれど人を良くする力がある。

その通りだ。

 

物語のどれもこれもが素晴らしい。

普段小説を読み返すことはしない。

でも、ヴァイオレット・エヴァーガーデンの原稿は読み返した。何度くらい読み返しただろうか。3~4回は読み返していると思う。

 

大賞になるのも頷ける。(第5回京都アニメーション大賞

 

そしてこれがアニメになる可能性を持っている。

ワクワクした。そしてドキドキした。

プロデューサーとして、そして音楽プロデューサーとしてそこに関わる未来を想像して興奮した。

 

僕は京都アニメーションのプロデューサーに「素晴らしい」という趣旨を伝えた。自分の語彙力の少なさを悔しく思った。感動した、素晴らしかったという言葉だけではとても伝えきれない感動があった。英語だとveryとかvery much くらいでは足りない感じ。excellentとかだろうか。excellentってどれくらいのポジションなんだろう。

 

そこからヴァイオレットとの付き合いは始まった。

どんなアニメーションになるのか、どんな劇伴が合うのか、歌は、、、日々想像を繰り返していた。

 

どんな声になるのか。

ヴァイオレットの声についての記述が小説にあった。「玲瓏な声」。

玲瓏ってなんだ。れいろう。

素晴らしい感じがするが詳しい意味は知らなかった。

調べてみると、金属や玉などが美しい音で鳴るさま、玉を思わせる美しい声、ということだった。

玲瓏な声、、、その意味を知った時まず思ったのは、ヴァイオレットの声を誰が担当するのか。ということだった。

玲瓏と言える声を持っている人。

その時はただただ頭の中で想像するだけだった。なんとハードルの高い設定なのだ。素晴らしい人物であり、深みがあり、人を想う心を持ち。そして「玲瓏」であれ。

小説を読みながら頭の中で鳴る声がどんどん神格化されていく。

読み込めば読み込むほどに声に対する期待は高まってしまう。

ヴァイオレットの世界をアニメにするにあたり、色々なハードルはあれど、玲瓏な声と出会うのは至難の業ではないか。

でも今はその正解を知っている。実にしっくり来ている。素晴らしいキャスティングが成されたと思う。

 

文庫として刊行されたあとも小説「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」を何度も読み、そしてその度にヴァイオレットワールドのことを想像した。

 

自分はプロデューサーの1名でもあるが、同時に音楽プロデューサーとしての任もある。

この作品はきっと世界に羽ばたく。そして長い年月、語り継がれ、愛され続けるはずだ。

老若男女。国境。人種。それを飛び越えて人の心に届くはず。

10年後も、それこそ100年後もきっと愛されるような作品になる。それを踏まえて動かねばならない。

スタート時点から世界目線を持って1つ1つ行動するべきだと考えた。

 

さて。最初に取り組んだのは原作のCMだ。

30秒で表現するCM。

これをどう作るか。

 
 

ヴァイオレット・エヴァーガーデンを文字だけの世界から映像の世界にクリエイトする作業がスタートした。

 
 

その2へ続く

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